直木賞ノミネート!逢坂冬馬さんの高校や経歴は?生い立ちをリサーチ

逢坂冬馬さんの最新作『ブレイクショットの軌跡』が、第173回直木三十五賞の候補作に選ばれました。

代表作『同志少女よ、敵を撃て』でデビューした逢坂さんは、これまでにも多くの文学賞に名を連ねてきた実力派です。

直木賞ノミネートをきっかけに、

逢坂冬馬さんって、どんな人?

と気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、逢坂さんのこれまでの経歴や生い立ちについて、リサーチしました!

逢坂冬馬さんの経歴は?小・中・高校時代の興味

逢坂さんは、1985年10月8日に誕生。埼玉県所沢市で生まれ、横浜市育ちました。

逢坂冬馬さんの学生時代について調べてみたところ、明治学院大学の国際学部卒業という経歴が分かりましたが、小学校から高校までについては、出身校は明らかになっていません。

しかし、学生時代について、何に興味があったのかを知る材料があったので、紹介します。

小学生のころは、小学館から出ている歴史漫画シリーズに夢中だったそうです。歴史人物の生きざまに胸を熱くし、何度も読み返すほどだったとか。この頃から歴史への興味が芽生えはじめていたようです。

その関心が決定的になったのは、高校1年生のとき。2001年、アメリカで同時多発テロが起こり、世界の空気が一変しました。目に見える「歴史」が動いたあの瞬間に強く衝撃を受けた逢坂さんは、将来の進路にも大きな影響を受けることになります。

高校では合唱部に所属。クラシック、とくにバロック時代の音楽を学びながら、声を合わせることに打ち込んでいました。ただ、その一方で、本はあまり読まなかったそうです。

少年時代は、フィクションは本ではなく映画に興味がありました。テレビで放映されていた多種多様な映画作品を通じて、クエンティン・タランティーノやデヴィッド・フィンチャーの作品などに出会い、感性を育んでいきます。

また、中学生の頃から音楽にも親しみ、尾崎豊さんや鬼束ちひろさんに影響を受けたといいます。大学生になってからは矢野絢子さんの音楽に惹かれるように。他にも、お父さんから譲り受けたロシア民謡のCDに心を打たれ、広大な国や歴史への想像をふくらませることもあったとか。

大学では国際関係学を学び、将来は研究者を志していた逢坂さん。読む本も、ノンフィクションが中心だったそうです。

そんな学生時代の積み重ねが、のちに物語を書く力へとつながっていったのですね。

歴史が大好きは子供の頃から!知的な生い立ち

逢坂冬馬さんは、子どもの頃から歴史に興味があったようです。
小学生の頃から歴史の本を読んでいたとのことで、すでに知的好奇心旺盛な少年だったことがうかがえます。

しかも、家庭環境もかなり文学寄り。
父は歴史学者の奈倉哲三さん、姉はロシア文学研究者の奈倉有里さんという、知のエキスパート一家。

逢坂さんが歴史や海外文学に強く関心を持つようになったのも、自然な流れだったのかもしれませんね。

大学やその後の経歴は?作家デビューまでの道のり

高校1年の頃、アメリカ同時多発テロに衝撃を受け、「世界が悪い方向に変わってしまう」という危機感を抱きます。

それがきっかけで、明治学院大学国際学部に進学。

世界の構造を深く学ぶために選んだこの学部で、逢坂さんは学術書やノンフィクション書籍に没頭する日々を送りました。とくに「なぜ戦争は繰り返されるのか」という問いは、彼のなかで一貫した関心の的であり、ゼミでも真剣に探究を続けたテーマでした。

ただ、大学で学んだのはそれだけではありません。先生たちから教わった、「歴史は大きな流れだけでなく、一人ひとりの生きざまからも見つめるべきだ」という視点。それが、小説家・逢坂冬馬の原点の一つになっていきます。

本格的に小説を読みはじめたのも、この大学時代。

けれど、当時の彼が目指していたのは研究者。創作の道はまだ視野の外にありました。

しかし、現実は理想通りにはいきません。文系の研究者は狭き門。逢坂さんは、進路を就職に切り替え、人事労務系の仕事に就きました。

社会人として働きながらも、「なぜ戦争は起きるのか」という問いは、心の奥に残り続けます。その問いへの答えを、自分の言葉で描いてみよう。

そう思ったとき、小説という表現方法が浮かび上がってきたのかもしれません。

会社勤めの傍ら、14年間書き続けた日々。原動力は“書く楽しさ”

逢坂さんが小説を書き始めたのは、大学を卒業して社会人になってから。

会社勤めの合間を縫って執筆を始めました。

それまで小説を書いたことは一度もなかったものの、最初に手がけた作品を最後まで書き上げることができたことで、物語を生み出すことの楽しさと達成感に魅了されます。

それからというもの、逢坂さんは14年間もの長い間、日々の仕事と並行しながらこつこつと作品を書き続けました。
「プロになりたい」という強い執念ではなく、ただ「書くことが楽しい」「もっと上手くなりたい」という純粋な気持ちが原動力だったそうです。

完成した作品を文学賞に応募し続け、これまで応募した作品は10作以上。中でも、アガサ・クリスティー賞には3度の落選を経て、4度目の挑戦でついに受賞を果たします。

2021年に発売されたデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』は、まさに長年の積み重ねの結果と言えますね。

高校生直木賞も受賞!若い世代にも響いた作品

逢坂さんの『同志少女よ、敵を撃て』は、2022年に「高校生直木賞」も受賞しています。

この賞は、全国の高校生たちが直近1年間の直木賞候補作の中から「もっとも心を打たれた一冊」を自らの手で選ぶという文学賞です。

第9回となった2022年は、全国38校が選考に参加。4時間を超える熱のこもった議論の末、逢坂冬馬さんの作品が選ばれました。

戦時下という重いテーマでありながら、10代の若者たちの心にも深く響いた『同志少女よ、敵を撃て』。
その物語の力と普遍的な問いかけが、世代を超えて届いていることがうかがえます。